3つめの規範 子どもの権利条約
1989年11月20日、国連総会で採択されました。日本では、世界で158番目という遅さで、1994年に批准されました。英語正文では〝Convention on the Rights of the Child〟
日本政府の訳では「児童の権利に関する条約」(本記事では、通称の「子どもの権利条約」と表記します)。条約は、国会の承認を必要とする国際的な取り決めで、法律と同等以上の法的拘束力を有するものです。子どもとは、18歳未満の者です。
全部で54条。1~41条には様々な子どもの権利が書かれ、42~54条はこの条約を実施するための仕組みが定められています。
差別の禁止(第2条)
子どもは、人種、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、社会的身分、財産、心身障害などによるいかなる差別も受けることなく、この条約に定めてある権利を尊重される。
子どもには最善の利益を(第3条)
子どもに関する全ての措置について、立法・行政・司法その他どんな機関であっても、子どもにとって最も善いことは何かということを第一に考慮されなければならない。
生きる権利(第6条)
すべての子どもは、生きる権利、発達する権利をもっている。
意見表明権(第12条)
子どもは、どんなことにたいしても、自由に自分の意見を表明する権利をもっている。その意見は、子どもの発達に応じて十分に考慮されなければならない。
子どもは、表現の自由をもっている。(第13条)
子どもは、思想・良心の自由、宗教の自由をもっている。(第14条)
子どもは、結社の自由・集会の自由をもっている。(第15条)
休み、遊び、文化的活動に参加する権利(第31条)
子どもは、休息し、余暇をもち、遊び、レクリエーションや文化的芸術的活動に参加する権利をもっている。
性的搾取からの保護(第34条)
国は、性的搾取・性的虐待から子どもを保護しなければならない。
国の義務(第4条)
国は、この条約で認められた権利を守り実現するために、法律をつくり政策を実行しなければならない。
私が、教員を勤めた36年間に、政府・文部科学省(旧文部省)から、47教育基本法や憲法や子どもの権利条約について、守るように尊重するようにという文書が届いたことは一度もありませんでした。2006年教育基本法が改定(改悪)されたあとにはすぐ、「教育基本法が改定されました」というリーフレットが送られてきました。
国連のすぐれた所は、条約を批准した国がその条約をちゃんと守っているか、実施しているかを5年ごとに調査し、必要に応じてその政府にたいして「勧告」を出していることです。2019年、国連子どもの権利委員会は、日本政府にたいして、多くの勧告を出しました。その中に、次の事柄もあります。
- 子どもが、社会の競争的性質によって、子ども時代及び発達を害されることなく子ども時代を享受できることを確保するための措置をとること。
- 意見を形成することのできるいかなる子どもに対しても、年齢制限を設けることなく、その子どもに影響をあたえる全ての事柄について自由に意見を表明する権利を保障し、かつ、子どもの意見が正当に重視されることを確保すること。
- 子どもの相対的貧困率がこの数年高いままであることを鑑み、かつ子どもの権利実現のための公共予算編成について…(中略)…子どもの権利についての視点を含み、明確な配分額を定めること。
※私は、子どもの権利条約をすすめる会が発行した小冊子「ポケット版 子どもの権利ノート」を常時バッグに入れています。この小冊子には、子どもの権利条約、日本国憲法、47教育基本法、ユネスコ学習権宣言などが収められています。
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