理論

民主的なクラスのつくりかた(19)

怒る意味

教育的に〝怒る〟

Aくんが、Bくんを殴ってしまいました。
その日、狭い教室の中でBくんとすれ違うことがあり、AくんとBくんが接触。
Bくんの方が体が大きいのでAくんの方が押されたかたちになりました。
短気なAくんはBくんのことをよく思っていず「なんだよ!」とカッとなって殴ってしまったのです。
周りにいた子たちが止めに入ってくれて、大事に至らなかったのですが、そうでなかったらBくんはケガをしていたかもしれません。

どんな理由をつけても暴力は許されません。
私はAくんを怒ることになります。

学校は警察ではありません。
取り締まりが目的はありません。
教育の場では、このような過ち(失敗)もその子の成長につなげていくことが重要です。
成長のチャンスにしていく。

「こら! ダメじゃないか! 暴力はいけない! わかってるのか! ちゃんと謝るんだ!」などと、怒鳴りつけることだけが、怒ることではありません。

共感的に〝怒る〟

子どもが興奮状態の時には、落ち着ける部屋に移動して、まず、静かに落ち着かせます。          

ここは、Aくんの行為に怒りを込めて真剣に言います。

「どんな理由があれ、きみがわるい。暴力はいけないって、いつも言ってるよね。暴力は人のからだとこころを傷つけることだ。どんな理由があっても暴力はいけない。自分だって誰かに暴力を振るわれたらいやでしょ。自分がやられてイヤなことは、人にしないんだ!」

「すみません」

「心から、悪かったと思ってる?」

「はい」

「じゃあ、Bくんにちゃんと謝罪できるね」

「はい」

「よし。きょうのことを始めから話してごらん」

「あの時、前の時間に数学の先生に注意されてイラっとしていて、そこにBがぶつかってきたのでつい…」

「それじゃ、ほとんど八つ当たりじゃないか。Bくんは、わざとぶつかってきたの?」

「ちがいます。でも、あいつむかつくんです」

「Bくんが嫌いでもいい。でも暴力はいけないんだ。その時、手を出しちゃいけないって思わなかったの?」

「その時はカッとなっちゃって…、でもあとで、まずかったと思いました」

「Aくんは、時々手が出ちゃうよね。どうすればよかったのかな?」

「……」

「あとで、まずかったと思ったんでしょ。手を出そうとする自分に対して、それはまずかったという自分がいるんでしょ。その自分を大きくしなきゃ! 手を出しちゃう自分を止める自分を育てなくちゃ! カッとなっちゃった時、殴っちゃおうとする自分と、それを止めようとする自分いるはずだ。自分とのたたかいだね。そういえば、一カ月前ぐらいにも手が出ちゃったことがあったよね。こんど先生に怒られるのはいつになるかな…?」

「もう怒られないようにします」

「よし! その気持ちが大事だ。心の整理がついたら、来なさい。bくんに謝ろう」

謝る時、〝仲直り〟は求めません

AくんとBくんは仲がよくないのです。人の好き嫌いはどうしょうもありません(もちろん、変化することはありますが)

好き嫌いに関係なく、人としてやっていいことと、やってはいけないことがあることを学ばせることが大切だと思います。

教育的に怒る

共感的に怒る

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