行事(4)
行事の可能性
行事は高め合い学び合う場
体育祭や合唱祭などは、各クラスが競い合います。どのクラスも〝優勝〟をめざしてがんばります。〝優勝〟〝入賞〟を逃したクラスは悔しさをにじませます。
しかし次の瞬間、優勝したクラスには、「○○組、よかったよ!おめでとう」と声をかけ、相手を讃え、あたたかい拍手を送ります。
行事が、各クラスが互いに刺激し合い学び合う場になっています。
そこには、順位などを超えた連帯が生まれているのです。
行事の度に子どもたちが見せてくれたこの姿に、子どもたちの心のゆたかさ・優しさを見る想いでした。
よく「教育には競争が必要だ」という言葉を耳にしますが、子どもたちを競争させサバイバルゲームに追い込むのだとしたら、間違っていると思います。
競争させることが目的ではありません。
競い合うことが互いに高め合うことになり、その先に高次な友情と連帯が生まれることにこそ意味があるのではないでしょうか。それは、例えばスポーツでも見られることです。勝つために全力でぶつかりあい、勝負がついたあと互いに健闘を称え合うシーンに感動するのではないでしょうか。
行事は文化を築く場 ~〝荒れ〟に立ち向かう~
私が勤めた学校でも「校内暴力」といわれた〝荒れ〟を経験しました。また、転勤した先が授業もまともに成立しないという〝荒れ〟に直面していました。職員会議で話し合ったことは、〝荒れ〟にたいして〝対処療法〟だけでなく、対置するプラスの文化をどう築くかということでした。
S中では、「愛感連」(愛と感動と連帯)という有志グループをつくり、合唱やソーラン節(全国に知られるようになった、ロック調の〝南中ソーラン〟)に取り組み、機会あるごとに合唱とソーラン節(踊り)を披露し、学校の空気を変えていきました。有志の子どもたちはクラスに帰ってリーダーとして活動するのです。
A中では、有志で「中央合唱団」をつくりました。また、学年職員で話し合い、1年生から合唱に取り組んで学年合唱のレパートリーを増やしていきました。それを新入生歓迎会や3年生を送る会・卒業式で発表しました。合唱指導の専門家も呼び発声法から教えていただきました。こうしてプラスの文化を築き、3年間で学校の空気を一変させました。
その過程では、行事の5条件を欠かさないようにしました。
異年齢集団(縦割り学級)の取り組み
全校行事では、縦割り学級が可能になります。私が勤めた学校では、体育祭を縦割り制(「ブロック制」と呼びました)で取り組みました。
1年クラス・2年クラス・3年クラスの3クラスでブロックを構成し、3年クラスが1・2年生を指導します。3年生クラスの全員が1・2年生にたいしてリーダーになるのです。
3年生がリーダー学年として正しい指導性を発揮するようになります。
上級生と下級生との、助け合い学び合う信頼関係が築かれていきました。
※各行事については、「実践編」で詳述していきます。
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