行事の実践2
体育祭㊤
体育祭 縦割りクラス(ブロック制)の可能性
A中学校では、私が異動で赴任した時、すでに体育祭は縦割りクラス(以下「ブロック制」)で取り組まれていました。私は1年生の担任でしたので、ただ見ているばかりでした。
A中の生徒たちと、指導してブロック制体育祭を築いてきた先生たち。素晴らしいと思いました。
光る3年生の指導性! ~クラスをつくる大きな力に!~
体育祭は毎年9月の20日前後の土曜日。9月初め(2学期になったらすぐ)、最初のブロック集会が開かれます。
3年生のリーダーたち(「指導部」と呼ばれます)が、次々に挨拶し、意気込みを語ります。はじめに、ブロック長、つづいて競技長、演技長、応援団長、仕事長。皆堂々として大きな声で。1年生はまず、この3年生の凛々しい姿と迫力に圧倒されるのではないでしょうか。さいごに「応援をやります」と言って、まず3年生だけで応援をやってくれます。
応援団長を先頭に数名の応援係が前に出ます。応援団長の声が轟きます。
「フレーー! フレーー! アカビー(赤B)!」
「フレーフレーアカビー!」「フレーフレーアカビー!」
オリジナルのパフォーマンスが付きます。3年生全員でやります。
1年生は、3年生の迫力に呆気にとられます。
「ブロック全員でやります!」
赤ブロックの団結が固まります。
次に、演技長が前に出ます。
「ブロック演技を一部紹介します」
数名の演技係が出てきて、カセットテープに録音した音楽に合わせて踊ります。
ジャズダンス風の、動きの速い、カッコいいダンスを披露してくれます。夏休み中に3年生が音楽を選定編集し、ダンスの振り付けを考えているのです。
2冠、3冠めざして! ~創造性も問われる~
体育祭本番まで2週間余りは毎日、授業は午前中のみ、午後は体育祭の練習になります。
3年生は、限られた練習時間を、おもに各競技とブロック演技(ダンス)に振り分け、練習に取り組みます。すべて3年生の指導です。
練習の初めにブロック集会。その日の予定や目標を示します。
終わりにブロック集会。その日の練習の評価をします。
その後、指導部は残って、その日の練習を総括して、「明日、どうするか?」話し合います。
競技の部、演技の部、応援の部それぞれが賞の対象になります。各ブロックが、一つ部だけでなく、〝2冠〟〝3冠〟を狙います。
3年生の指導力が物を言いますので、3年生は必死ですし、3年クラスの団結が強くなります。たとえば、競技長から「競技練習の時間を増やしてほしい」、演技長からは「このままじゃ演技が完成しない。練習時間は減らせない!」などともめることはしょっちゅう。それをどう乗り越えていくかも、見ものです。
下級生がなかなか思う通りに動いてくれない、ということもしばしば。そういう時に、叱るだけではダメだということ、やさしく懇切丁寧に粘り強く教えていくことが大事なことを、経験的に学んでいきます。
体育祭の取り組みを通して、上級生と下級生の対等な信頼関係が築かれていきます。
3年クラスの中の、助け合い励まし合う関係が高まっていきます。
ブロック制のシステムを築くまでには大きな苦労があったのでしょうが、体育祭の取り組みのほとんど全て、3年生が指導して行いますので、教師の出る幕はほとんどありません。「ここがよかった!」「なかなかいいよ!」などと褒めたり、「こうした方がいいと思うよ」とアドバイスしたりはしますが…。
自治が進むと、教師はラクになるということを身をもって実感しました。
感動の連続! ~体育祭本番~
必死で走る選手たち。全員でバトンをつなぐ全員リレー。大声出して息をそろえる大ムカデ。大縄跳び。
声を嗄らしての応援。応援合戦。
ブロック全員での、4分間の〝ブロック演技〟
感動の連続です。
私も声援で声を嗄らします。
子どもたちの、やりきった笑顔! やりきった涙!
子どもたちの持っている力のスゴさ! 可能性のスゴさ!
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