実践

自治をめざすクラスづくり(35) 家庭訪問

家庭訪問

家庭訪問は、子褒めに行く

今の時期(4月末~5月)、家庭訪問を実施する学校が多いようです。私が勤めていた学校でも、5月になると全学級担任が、全生徒の家を訪問する〝家庭訪問〟週間がありました。

初任の頃。家庭訪問で何を話したものか? 先輩のI先生に訊きました。

「子褒めに行くんだよ」

「まず子どもを褒めれば、親御さんは悪い気はしない。『そうですか、でも実はこんなことで困っているんです』などと本音で話してくれる。保護者と信頼関係を築く第一歩だからね」

1軒に20分程度の時間ですが、私はついつい延びてしまい、事前に知らせた時間より1時間遅れてしまうことも度々。あの頃は、携帯電話もなかったので、お宅に着いたらまず、電話を借りて次のお宅へ遅れることのお詫びを連絡するということになりました。

多いときはクラスに40人いましたから、一月足らずで全員のよい所を探すのは大変です。

私はほぼ毎日、学級通信を出していましたので、子どものよい所を見つけるように日々心掛けていました。特別素晴らしいことなどそんなにあるものではありません。小さなことでも、当たり前のことが当たり前にできることが大切です。小さな感動を褒めることにつなげたいですね。

☞「褒める①」いまこそ学校に希望を43 (23.11.24)

☞「褒める②」いまこそ学校に希望を45 (23.12.1)

☞「褒める③」いまこそ学校に希望を51 (23.12.22)

☞「褒める④」いまこそ学校に希望を53 (23.12.29)

☞「褒める⑤」いまこそ学校に希望を59 (24.1.19)

学級通信の効用

あまり打算的すぎるのはどうかと思いますが、4月の新学期スタートから学級通信を出し続けていることは、〝家庭訪問〟でも効果覿面です。

「学級通信で、学校のようすがよくわかります」

「毎日、読むのを楽しみにしています」

保護者一人ひとりと対面するのが初めてでも、学級通信のおかげですでに信頼関係ができている感じです。

学級通信を出し続けてよかったなあと思いますし、お母さんお父さんの励ましで、これからも出し続けていこうという気持ちにさせられます。

家庭訪問のエピソード2題

1年生を受け持った時のことです。

Tさんの家を訪問しました。

「何事にもまじめに取り組んでいますね。4月の初め、○○を集めたとき、Tさんが前に出てきて

『先生、すみません。忘れてしまいました』とちゃんと言ってくれたのです。忘れてしまったことを自分でちゃんと言いにくるなんて! しっかりしてますね」

そしたら、お母さんがこう言ったのです。

「その時の話、家に帰って娘から聞きました。あの時、忘れたことを先生に言いに行った時、ドキドキしていたそうです。でも先生が『いいんだよ、誰だって忘れる時があるからね、明日もってくればいいよ』と仰ってくれた。それで娘は、ホッとして心が落ち着いたようです」

2年生を受け持った時のことです。

「Kさん、遅刻が多いですね。でも、チャイムが鳴り終わっても、少しでも遅れないように、ハアハア言って走って教室に入ってくるんです。遅刻は遅刻でも1秒でも早く!という姿を見ると、私もにっこり『おはよう!』と言うしかない。遅刻減らすように、がんばっているんですね」

「そうですか。朝何度言っても起きないので、心を鬼にしてもう起こさないことにしたんです。子どもにそう宣告しました」と、お母さん。

お母さんとの暗黙の連携プレイが始まりました。

Kさんの遅刻はだんだん減り、やがて解消しました。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。