実践

自治をめざすクラスづくり(55)行事の実践3 合唱祭

行事の実践3 合唱祭

特別な曲を選んだクラス(2)

高い峰をめざすこと、子ども達の可能性を信じることの大切さ!

「消えた八月」を歌った2年4組㊤

92年度の2年4組は、自由曲に「消えた八月」を選びました。
ヒロシマ・ナガサキの原爆を歌にしたものです。
学級通信にも記録されていませんので、どういう経過でこの曲を選んだのかわかりませんが、私が数曲の候補曲の中に入れ、子どもたちが決めたのはまちがいありません。
四部合唱のこの難しい曲を、「このクラスならできるかもしれない」と思ったのでしょう。

今も忘れないことがあります。

 ある先生が、学級委員のTさんに訊きました。

 「4組、自由曲は何になったの?」

 Tさんは、溌剌とこたえました。

「私たち,スゴい曲を歌うんです」

 「へえー、何という曲?」

 「『消えた八月』という曲です」

 「どんな曲なの?」

 「ヒロシマ・ナガサキの原爆のことを歌った曲です」

 「それはすごいね。当然、優勝をねらうんでしょ」

 Tさんはきっぱりと言いました。

「賞は関係ないんです!」

  賞がどうかとかを超え、この曲を歌う意味を噛みしめているようでした。

案の定、賞はいただけませんでした。
私自身、賞を取らせたいというホンネはもちろんありましたが、一方で、優勝でもして「ワー、ヤッター!キャー!」というのも、なんかふさわしくない曲だなとも思っていました。

消えた八月

作詞:栄谷温子
作曲:黒沢吉徳

 熱い光の中で 僕は一枚の絵になった

 熱い風の中で 君はひとつの石像になった

 光りに打たれて 僕は壁にとけた

 風に吹かれて 君は大地に消えた

 僕の好きな八月は 蝉と向日葵の夏

 君の好きな八月は 銀河の下 星祭り

 しかしすべては消えた

 熱い風と毒された空気の中で

 血の一滴すら流すことなく

 僕は影になった 君は物になった

 故郷に 黒い雨が降る

 熱い光の中で 僕は一枚の絵になった

 熱い風の中で 君はひとつの石像になった

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