いじめ問題にどう取り組むか(3)
〝いじめ〟が起こったら
〝いじめ〟の発見~ 対処法、緊急避難的な処方
〝いじめ〟は起こらないに越したことはないのですが、私の経験では、「こんなによく協力し合っているのに」「こんなに心優しい子たちなのに」というクラスでも〝いじめ〟は起こりました。
それ以来、〝いじめ〟はいつどこで起こってもおかしくないと思うようになりました。前回お話しした社会的背景を考えれば、いじめが起こっても当然ぐらいに覚悟しておいた方がよいのかもしれません。
教師には見えにくいところで進行している場合も多いのですが、兆しはあるものです。
教室の〝空気〟が何か違うとか、子どもたちの動きに何か今までとは違う違和感を感じるとか、いう時には要注意かもしれません。他の先生に訊いてみる、信頼できる子に訊いてみるなどする必要があるでしょう。
事実を調べ、被害者と加害者が明らかになったら、まずは被害者のケアをし、加害者に事情を訊くことになるでしょう。深刻な事態にならないように、校長を含め、他の職員にも協力を要請することもあるでしょう。加害者、被害者双方の保護者にも説明する必要も出てくるでしょう。
加害者は、自分のした行為についてしっかりと反省し、その納得のうえできちんと謝罪しなければなりません。
深刻な事態に至っていれば、学級や学年、場合によっては全校で、保護者会を開き、包み隠さず、保護者に報告する必要が出てくるでしょう。
教職員として〝いじめ〟を早く発見できず、深刻な事態になったことに、深い反省を示す必要があります。それまでの教育活動を総括し、今後どうしていくのかを明らかにし、保護者にも説明する必要があるでしょう。とかく学校や教育員会が隠蔽する傾向がありますが、それは子どもたちや保護者の信頼を失う元です。
ここまでは、どの学校でも行っていることでしょう。
このように、まずは、深刻な事態を避けるために、緊急避難的な対処が必要です。
より重要なのは、その次の段階の取り組みです。
抜本的な取り組み(1)
〝いじめ〟が起こってしまった学級集団の問題です。
班長会や学級総会で積み重ねた討論の本領が発揮され、学級委員や班長らリーダーたちの指導性が、こういう時にこそ発揮されなければなりません。
実は、合唱祭であの「春に」を歌った2年7組。3学期になって、Aさんにたいするいじめが発覚したのです。2学期末から、Aさんを避けるような素振りがチラりと見えるようになっていたので、気になっていたのです。私は慎重に取り組みを進めようと考えました。
手始めに2学期末、全員に「いままでにいじめられた経験がありますか?」と問い、書いてもらいました。
次々に、いじめられた経験が出てきました。
いままでにいじめられた経験がありますか?
◇ありません。
でも小学校6年生の頃は、クラスでいじめられている子はいました。
いじめられているのに、何もできない自分が、今は少しまずかったナと思っています。
だけど、いじめてる子の気持ちってあまりよくわからないなぁ…。
よく弱い者いじめをする方が弱いっていうけど、これは言えてると思います。
◇中学1年のとき、その人たちはふざけてたと思います。
その人たちに何かいやなことがあったりすると、自分に八つ当たりをしてきました。
◇むしされてかなしい思い出があります。
◇5年のとき、お人形あそびをやらされた。
反対方向なのに、家まで送らされた。
むしされた。
◇借りたものをよごしてしまったのを理由に、なぐられたり、けられたりして、さらに弁償まで要求された。
小学校5・6年、遊んでいる時、足がその人の手に当たっただけで、バツゲームみたいにみんな(その時いた人全員)にたたかれたりされた。
◇中学1年の時、部活で、みんなにシカトされた。でも○○くんだけは普通にしてくれた。
(その後はなくなった)
◇机に落書きされたことがある。結局犯人がわかって、話し合って、その問題は片付いた。
今思えば、もっと言いたいことを言っておけばよかったと思う。
◇小学生の頃。
シカト。気にしていることを言われた。
中学生の頃。
机が黒板消しの粉で真っ白にされた。机の上に落書きされた。(中2)
気にしていることを言われた。殴られた。(中1)
◇小学校のころ、先生に竹でたたかれた。
(つづく)
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