経験談

学校をどう変えるか(26)【いまこそ学校に希望を243】

学校をどう変えるか(26)

学校の言葉⑦「子どもを中心に」「子どもを主人公に」、そして「学級づくり」

「子どもを中心に」「子どもを主人公に」(2)

学級づくりにおける「子どもを中心に」「子どもを主人公に」を、考えてみましょう。

学級担任になれば、ほとんどの教師は「子どもを中心に」「子どもを主人公に」と思うのではないでしょうか。
〝子どもたちがクラスをつくっていく、そのために担任は指導する、援助する〟と。

小学校は、学級担任制なので、学級担任が〝クラスをつくっていく〟という意識が強いのではないでしょうか。
私は、中学校の学級担任を続けてきましたが、はじめは小学校の先生に学んだのです。
小学校の先生が、学級通信をたくさん出している、クラスで楽しいイベントをやっている、授業づくりと学級づくりを一体化してわかって楽しい授業をつくっている……。
そこから学ぶことが非常に大きかったのです。

〝子どもたちがクラスをつくっていく〟ということは、子どもたちが、クラスの現状をどうとらえるか話し合い、どんなクラスにしていきたいか〝夢〟を語り合い、それを実現するためにどんな取り組みをしていくか話し合い、活動の方針を決め、実行に移していく。

学級という集団は、日々動いています。
ケンカが起きたり、イジメが起こったり……、学級の中の人間関係の問題です。
子どもたちが自分たちで話し合って、助け合い学び合い、共同の関係を築いてがいくことが学級づくりです。

体育祭や合唱祭などの行事に取り組むのも学級です。
自分たちで練習し、力を合わせて、イイものをつくりあげ、感動を生み出し、共同の関係を高めていく。
行事は、その絶好のチャンスです。
そのために学級のリーダー集団を中心に日々話し合いを重ねていくのです。

ここでも、話し合いが欠かせません。

「子どもを中心に!」「子どもを主人公に!」と言いながら、本当に、子どもを中心に、子どもを主人公にしているのかが、問われなければなりません。

「朝の会」「帰りの会」

このブログで少し前に(「いまこそ学校に希望を240」)、「朝の会」「帰りの会」について述べました。

ある公立中学校の「朝の会」と「帰りの会」のプログラムを入手しました。
次の通りです。

やはり、「会」という名の「連絡」でした。
子どもたちが、話し合う時間、意見を言う時間はありませんでした。
司会をするのは、日替わりの「日直」という役割でした。

もうひとつ、気にかかるのが、どのクラスもこのプログラムでやっているのか、ということです。
調べてみようと思います。
学級担任によって、いろんなやり方があっていいはずです。
教師の考え方によって、様々な手法があっていいはずです。
私がかつて勤めた学校では、学級担任によって「朝の会」「帰りの会」のやり方は異なりました。
私も、違うやり方を否定しませんでした。
学び合うことが大切ですから。

日直のお仕事

1(略)

2 朝の会の司会 

  1. 朝のあいさつ「起立,気をつけ、朝のあいさつをします。おはようございます。
  2. 健康観察「保健委員会お願いします」
  3. 係・委員会からの連絡「連絡のある係や委員会はありますか?」
    (週の最初の日は給食当番の確認をする。今週は   班です)
  4. 今日の時間割と移動教室の確認「1時間目は・・・     移動教室は・・・」
  5. 先生の話「〇〇先生お願いします」

終わりのあいさつ「起立、気をつけ、これで朝の会を終わりにします。」
「ありがとうございました。」

3 帰りの学活の前に職員室にいって配布物・掲示物を取りに行く。

帰りの会の司会

  1. はじめのあいさつ「起立、気をつけ、これから帰りの会を始めます。お願いします」
  2. 明日の確認「1時間目〇〇 〇〇係・・・2時間目△△ △△係・・・・」
  3. 明日の宿題は・・・(すべてまとめて言う)「国語は・・・数学は…英語は・・・」
  4. 係・委員会からの連絡「連絡のある係や委員会はありますか?」
  5. サイコロトーク サイコロを振る 記入時間に考える。大きな声で!」
    (何をやるのか、よくわかりません…筆者)
  6. 先生の話「〇〇先生お願いします」
  7. 「明日の日直は〇〇さんと〇〇さんです。今週の週番は〇〇さんです。
  8. 今日の日直に協力していただきありがとうございました」
  9. 帰りの会のあいさつ「起立!」「机の中を空にしてください」
    「気をつけ、帰りのあいさつをします。さようなら。」

5 (以下 略)

私の学級づくりでは、帰りの会は、話し合いと連絡の時間です。
話し合いは、短い時は5分程度です。
帰りの会の司会をするのは、「帰りの会係」。
係は学級総会で決めます。1班が「帰りの会係」になれば、係替えをするまでの少なくとも3~4週間は、1班が毎日、帰りの会の司会をします。そうすれば、1班は帰りの会の進め方を工夫し、変えていくことができます。

「学級づくり」 

これまで述べてきたことから考えると、当然「学級づくり」という言葉に疑義が生じてくる場合があるでしょう。

「クラスをつくる」の主語は、「子どもたちが」となるのが自明でしょう。
学級づくりを行うのは、当然、学級担任でしょう。

「教師(学級担任)が学級づくりをする」ということは、教師が、子どもたちが主人公となって自分たちで話し合ってクラスをつくっていくように、導くということに他なりません。
それが、〝学級を指導する〟ことの中身です。

繰り返しになりますが、子どもたちが自分たちで話し合いをせずにクラスをつくっていく、ということはありえません。
子どもたちが自分たちで話し合ってクラスをつくっていくように導くのが、教師の仕事になるでしょう。

さもなければ、「自分たちで自由にやりなさい」と言いながら教師は何もしない、放任され無秩序なクラスになるか、教師が「こうやりなさい」という枠を決め、その枠からはみ出ることが許されず、子どもたちが話し合って自分たちで決めることが抑圧され、管理統制されているクラスになるか、でしょう。

前者は、教師の仕事放棄でしょう。

後者は、教師による学級支配でしょう。

どちらも、子どもは育ちません。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。