教師を続けてきて、よかったと思った時
入学初日から格闘の毎日
198X年、1年Q組の担任になりました。
このクラスは入学式当日から荒れていました。
ふつう新入生は緊張して、担任が来るのを静かにまっているものです。
ところが1年Q組は違いました。
私は職員室から教室に戻って来た時、啞然としました。
静かに座っているどころか、教室は騒然としています。
机の間を走り回る子。
大きな声でおしゃべりする子。
なんと、机の上に乗って飛び回っている子もいます。
後にも先にもこんなクラスはありませんでした。(このクラスには、後にも登場してもらうつもりです)
それからの毎日は、まさに格闘でした。
クラス全体がまったく落ち着きがないのです。
その騒がしさ、落ち着きのなさは学校中で有名になってしまいました。
あだ名は「ジャングルクラス」。
「よかった」という瞬間
この学校では2学期に、合唱祭がありました。
いつもなら子どもたちが「ことしは優勝する」など、目標を掲げ、「指揮者と伴奏者、パートリーダーを中心にみんなで力を合わせよう!」と発破を掛けます。
しかし、Q組では優勝なんて、ムリー! 私が要求したのは、〝3分間全員が動かずちゃんと立って大きな声で歌うこと〟でした。
子どもたちが選んだ曲は「怪獣のバラード」。
先生方からは、異口同音に「あら、Q組にぴったりじゃない!」などと。。。
本番当日。
ハラハラワクワク。。。
しかし、子どもたちがお行儀よく入場し、全員まっすぐ前を向いて、元気よく大きな声で歌っています。
なんとフラフラしたりチョコチョコしたりしている子は一人もいません。
できるじゃないか!と、私はウルウル。
ありがたいことに、番外の〝奨励賞〟なんて賞もいただきました。
叱られることの多かった子どもたちを「よくがんばったね。とてもよかったよ。いい合唱だった!」と褒めまくりました。
4月のスタートから9カ月、Q組を担任して「よかった」と思った瞬間でした。
学級づくりって、こんな瞬間のためにあるのかなと思いました。
こんな瞬間を1年に1回でも作れればいいんじゃないかと思うようになりました。
〝ジャングルクラス〟といわれた子どもたちも自信になったようです。
Q組は、合唱祭で褒められたからといって、次の日から日常生活が改善されたわけではありません。
相変わらず授業でおしゃべりが多い…、その後も格闘はつづきました。
しかし、合唱祭の感動が、その後の私を支えてくれました。
きっと子どもたちも……
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