教育情勢

教師を取り巻く環境整備について

中教審の特別部会が緊急提言

23年8月28日、中央教育審議会・初等中等教育分科会の「質の高い教師の確保特別部会」が、教師を取り巻く環境整備についての緊急的に取り組むべき施策(提言)(以下「緊急提言」)を発表しました。

緊急提言では、「依然として長時間勤務の教師が多いという勤務実態」であると指摘し、「教師を取り巻く環境は、我が国の未来を左右しかねない危機的状況にあると言っても過言ではない」と述べています。

教師の長時間勤務を是正し、教師を取り巻く環境整備に、国をはじめ都道府県、市町村、学校等「教育に関わりのある全ての者の総力を結集して取り組む必要がある」としています。

そして、国がその先頭に立つことを求めています。

 

緊急的に取り組むべき施策

  • 標準授業時数を大きく上回っている(年間1086単位時間以上)学校に改善を求める
  • 運動会の開会式の簡素化、入学式・卒業式の慣例的・形式的部分の見直しなど、学校行事の負担軽減を図る
  • 授業準備や成績処理など、ICTの活用を進め、校務の効率化を図る
  • 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保する(勤務間インターバル)の実施に向け検討を進める
  • 勤務時間の途中に休憩時間を適切に確保できるようにする
  • 小学校高学年の教科担任制の強化
  • 支援スタッフの配置
  • 教員業務支援員の全小中学校への配置
  • 副校長・教頭を支援する人材の配置

小手先の対策で終わらせず、抜本的な対策を!

緊急提言で、いくつもの対策が列記されていますが、残念ながら、この程度の施策で「危機的状況」が打開できるとはとても思えません。
なぜなら、危機的状況の根本に切り込んでいないからです。

緊急提言でも「これで終わりではない」と述べています。

  • 給特法を廃止し、残業手当をきちんと支払うこと
  • 教職員の大幅定数増を図ること
  • 欧米並みの20~25人の少人数学級早期実現に踏み出すこと
  • 国による教育内容への介入をなくし、学校と教職員の自由を確保すること

これらの早期実現を求める声をあげていくことが、いま必要ではないでしょうか。

自公政権下の12年 教職員定数3万人減

23年も2,474人減 公立小中学校

岸田政権が公立小中学校の教職員定数を23年度予算案で2474人減としたことで、自公が12年に政権復帰して以降の定数減の合計が3万人を突破しようとしています。

21年度子どもの不登校と精神疾患を理由とした教員の休職がともに過去最多を更新。
子どもへのきめこまかな支援のためにも、教職員の異常な長時間労働の解消のためにも教職員定数の大幅増が切実に求められています。

政府が3万人の定数減で削った予算は650億円。
岸田政権が狙う大軍拡のほんの一部を回すだけで、定数減から定数増への転換は十分可能です。

自公政権は少人数学級拡充に背を向け、少子化を口実とした「自然減」や学校統廃合などの「合理化減」を大規模に進めてきました。

新型コロナ危機が起きると、教室で密集・密接が回避できないことが露呈。
世論の高まりが政権を追い詰め、小学校全学年での段階的な35人学級化を実現しました。

しかし、自公政権は35人学級化に必要な教職員の4分の1をすでに配置されている教職員のやりくりで賄う計画です。

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