係活動 ~クラスの生活と学びを築く~
朝登校してから「さよなら」するまでに、様々な活動(仕事)があります。
出欠席を確認する、その日の予定など連絡事項を伝える、提出物を集める、授業が始まり先生が来て号令をかける、終わりの号令をかける、板書を消す、体育・音楽・美術・技術家庭・理科など移動教室の場合に窓を閉める、電気を消す、昼食の準備と片づけ、授業が終わって掃除、次の日の授業の連絡、等々。
これらの活動(仕事)を自主的・自治的に行うシステムが、係活動です。
実務的な仕事から創造的な文化活動へ
民主的なクラスづくり、すなわち子どもを主人公にするクラスづくりでは、係活動は班で取り組みます。
係活動には2つの意味があります。
第一に、自分たちの生活をできるだけ自分たちで運営していくということです。実践編で述べたように、出席をとる、号令をかける、教科連絡をする、黒板をきれいにする、朝の会・帰りの会を運営する等の仕事を班で担って行います。実践例は、実践編〈自治をめざすクラスづくり5~9〉をお読みください。
第二は、係活動を創造的なものへ発展させることによって、クラスの文化を高めていくことができるということです。黒板をきれいにする、戸締りをする等の仕事は必要なことですが、それ以上に発展の余地はありません。これに対して、帰りの会係は、帰りの会のプログラムの中に創造的な活動を取り入れることができます。
前述したように、私が勤務した学校では80年代までは帰りの会の時間が20分間あり、
係替えをするごとに創造的な文化活動を加えていきました。
実際、次のような係を創設していきました。
- 美化係…
私が持ってきた鉢植えの花に水をやり、日当たりのいい所に置く。きれいなポスターや写真などを教室に貼る。 - レク係…
ホームルーム(学活)の時間にやるレクレーション(ドッジボール、ソフトボールなど)を企画する。(自由に使えた1週間に1回の学活の時間が、どういうわけかしだいに自由に使えなくなりました) - 歌声係…
今週歌う歌を決め、歌詞を書き、係の子は前に出て、帰りの会の時にみんなで歌います。 - 図書係…
私が持っている本を教室に並べ、みんなからも本を持ってきてもらい学級文庫をつくります。1週間に1回ぐらい、帰りの会で本を紹介します。 - 学習係…
例えば数学の問題をつくり、朝自習の時間にみんなにやってもらい、帰りの会で
答え合わせをやり、解き方を解説します。
覚えているものを列記しましたが、我ながら「あんなこと、よくやったなあ」と思います。かつてはそのくらいゆとりがあったのです。2000年代になってからでしょうか、全くゆとりが無くなってしましました。
学校に自由とゆとりを取り戻そう!と願わずにはいられません。
第2の意味での係活動は、きわめて困難になっていると私は感じています。
創造的な係活動にも取り組んでいらっしゃる方がおられましたら、お知らせいただけたら幸いです。
映画※で拝見した長野県の伊那市立伊那小学校では、〝子どもを真ん中に!〟という方針で、60年前から通知表をなくし、時間割もチャイムもなくし、ヤギの飼育を通して、クラスも学習も展開していく、という教育が実践されています(校長も全面的に賛同して)。校長には、教育課程の編成など幅広い権限が法的に認められているのです。
※映画「夢みる校長先生」(オオタヴィン監督 2023年)
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