クラスづくりの理論と実践の連載を続けたいところですが、昨年暮れに見過ごせないデータの公表がありましたので、とりあげることにします。
教員の精神疾患による休職6539人 過去最多
2022年度 文部科学省調査
昨年(2023年)12月22日、文部科学省は、2022年度「公立学校教職員の人事行政状況調査」を公表しました。
それによりますと、2022年度、教員の精神疾患による病気休職者は全国で6539人。前年度から642人増加し、過去最高となりました。
校種別では、小学校3202人、中学校1576人、高校849人、特別支援学校872人。管理職などを除いた一般教員が5987人。
年代別では、20代1288人、30代1867人、40代1786人で、合わせて4941人、全体の76%を占めています。
在籍学校の勤務年数6ヵ月以上3年未満が3672人で、全体の56%を占めています。6ヵ月未満が525人います。
休職期間2年~3年の人が630人います。
2023年4月1日現在で、2606人が復職していますが、2663人が引き続き休職しています。退職した人が1270人います。
性犯罪・性暴力で免職・停職などの処分を受けた教員が397人。うち、児童生徒に対しての行為で処分を受けたのが119人で、118人が懲戒免職となりました。
体罰で処分を受けた教員は397人で、前年度より54人増えました。被害を受けた児童生徒は649人でした。
精神疾患による教員の休職は、この10年間は5000人前後で推移し高止まりの傾向でしたが、2021年度から増加に転じ、22年度は6000人を超えました。
解消されない多忙化・教員不足、遅々として進まない少人数学級……等で、教員が追い詰められている状況は深刻さを増しています。とくに、希望をもって教職に就いたであろう若い教員が追い詰められている状況には胸が痛みます。一方、病気休職や産育休で生じた欠員を埋められない「教員不足」が全国で3000人を超えるという調査もあります。
学校現場はますます疲弊しています。
2022年度、全国の小学校教員採用試験の倍率は、2.3倍で過去最低。中学校は4.3倍、高校は4.9倍で、ともに低下傾向です。
給特法の廃止と残業手当の完全支給、抜本的な教職員の定数増、欧米並みの20~25人学級の実現を急がないと、本当に教員の成り手がいなくなってしまいます。
国の責務として教育予算を増やし、子どもたち一人ひとりにゆきとどいた教育を実現するための教育条件整備を行うことが必要です。
教員による性犯罪・性暴力は絶対に許されません。二度と教壇に立ってはならないと思います。
人権と民主主義を守り教える立場の学校と教職員は、断固として体罰・暴力・いじめを許さず、子どもたちを守り切らなければなりません。これは、自戒を込めて言います。まして、隠蔽などあってはならないことです。
コメント