学級(クラス)分析
1年間の(あるいは2年間の)クラスづくりの過程で、その時時に、何を課題(目標)として取り組めばよいのかということを適切に見極めることが必要です。
そのために必ずやらなければならないことが、学級(クラス)分析です。
クラスづくりとは、クラスという集団を発展的に変えていくことですから、その集団がいまどのような状況にあるのかを分析することによって、課題が見えてき、目標が立てられます。
クラス集団を分析する視点が2つあります。
第一に、目に見える現象として、クラスがいまどんな状況にあるか? 端的にいえば、よい面とわるい面を明らかにするということです。これは目に見える部分ですから、やりやすい。例えば、係活動が各班どのくらい自分たちでできるようになったか? 授業中の私語がどれだけ減って、発言が増えたか?等々。ただし、中学校の場合は担任が教室に行くのは、朝と昼と帰りと、担任クラスで授業がある時だけですから、休み時間や他の授業の様子はわかりません。そこで私は、子どもたちがクラスをどう見ているか知りたいという時に、小さな紙を配って全員に書いてもらいます。「クラスのよい所とわるい所、教えて!」と。そうすると私の知らない事が出てくるものです。「社会の時間は私語がなく集中しているけど、国語の時間はうるさい」など。
この第一の分析は、班替えを行い、新たなクラス目標を決めるもとになるので、「班替え案」に盛り込まれます。
第二に、クラスづくりは、現象面を変えることが目的ではありません。現象をつくりだす、子どもたち同士の関係性を変え、発展させていくことが目的です。その過程で子どもたち一人ひとりが成長していくからです。ですから。子ども同士の関係性がどうなっているのかを分析する必要があります。「女子にはだいたい3つのグループあるかな? 男子は○○と○◇が力を持っているな、孤立気味の子もいるな」など、およそは分かりますが、正確につかむことはできません。
そこで、「相談したいことがあるんだけど」と学級委員やリーダー格の班長を呼んでクラスの中が、どういうつがなりになっているのか聞きます。それを白い真っ新な紙に書いていきます。集団の中心にいる人をAさんとして、その周辺に誰がどのくらいの距離でつながっているのか、表していきます。人と人をつなぐ線が、対等平等な線なのか? 力で支配するような線なのか? 生かした方がいい線なのか? 断ち切った方がいい線なのか? いじめられている人や孤立している人はいないか? 援助が必要な人は誰か? クラスの中で弱い立場になっているのは誰か? この分析が、どういう班の編成にしたらよいか考える基になります。(これは、当時横須賀におられた、学級づくり・学校づくりの優れた実践家・藤井正彦先生に直接聞いて学んだことです)
なお、この第二の分析は、真に信頼できるリーダーとの話し合いで行い、多分に人間関係の機微に触れる面がありますので、公表しませんでした。
(私は、この図面にしてまでの綿密な分析の必要性を感じずやらなかったこともありましたし、怠ったために大失敗したこともありました。このあたりの研究は道半ばでした。どのくらい綿密にやるかということは別にして、人間関係の分析が行うことは必要です)
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