実践

自治をめざすクラスづくり(24)

教室掃除

〝分担主義〟ではなく

掃除を、自治的に自分たちでやるって、かなり難しいと思います。
私が勤務した学校はクラス数が多いので、各クラスに割り当てられる掃除場所は4カ所。

教室掃除を2つの班でやりました。
そこで、教室掃除を
Ⅰ=床を掃いて拭く
Ⅱ=机運びその他(ごみ捨て、黒板など)と分けました。
分担はここまでにしました。

教室掃除Ⅰ…箒で掃くのはAさんとBさん、床の雑巾がけはCくんとDくんとEさん、雑巾を洗うのがFさんとGくん。

一つの班で行う場合は、箒とゴミ捨てがAさんとBさん、雑巾がけ(洗いを含む)がCくんとDくん、机運びがEさんとFさんとGくん。

というように、予め分担を決めておいて、毎日その分担で行う。
おそらく広く行われている掃除の方法は、こういう〝分担主義〟ではないでしょうか。
分担表が教室に貼ってあることもあります。

教室掃除Ⅰを例に考えてみます。

きょうは流しが混んでいて雑巾洗いが遅れています。
雑巾洗いの子は、雑巾を洗いしぼって床に置くまでが仕事です。
でも、箒の子はそれが自分の分担なので箒だけやればいい。
箒が終われば、仕事は終わり。
雑巾がけの子は雑巾が来て床に置かれるのを待っている。

というようなことが往々にしてあります。
予め分担が決まっているので、それ以上のことはなかなかしない。
班長も、それぞれ分担をやってくれればいいと思っている。

私もそうやっていました。
これを〝分担主義〟と名付けました。

15分か20分という短い時間なのに、〝分担主義〟だとこういう滞りが度々起こる。

私はある時から、この〝分担主義〟をやめました。

班長にはリーダーの力を発揮してもらい、掃除ももっと自治的にやろうと考えました。

はじめは、「先生が班長をやります。班長さんは、先生のマネができるように見ててね」

私が、用具庫から箒2本と雑巾を5~6枚入れたバケツを持ってきます。

「全員横一列に並んでください」
「きょうは、最初箒はAさんとBさん、お願いします」
と、箒を渡します。

「CさんとDくんは、雑巾をゆすいで固くしぼってきてください」と、バケツを渡します。
「床拭きは、EくんとFくんとGさん」と、指示します。
「Aさんは、窓側から掃いて!」「Bさんは廊下側から掃いて!」
「Aさん! ここにもゴミあるから掃いて!」
「Aさんの掃き方、いいね。Bさん、マネして!」

雑巾をゆすいでしぼってきたCさんとDくんに、

「ここに広げて置いて!」と床の板一枚分ずつ空けて、雑巾を並べさせます。
「Eくん、ここから雑巾がけスタート! 向こうまで行ったら裏返して、となりのここまでかえってきて!」
「きょうは先生が見本やるね」と言って、①からスタートし、②にかえってきたら、
「あっ!雑巾がある!」と嬉しそうに叫びます。
「ハイ! じゃあ、先生のマネして始めよう!」
「Eくん、ここからやって!」Eくんが③からスタートします。
「Fくんはここから!」「Gさんはここから!」
「CさんとDさん、雑巾を洗ってきて!」
「雑巾、遅いね。Eくん! 様子見てきて」

箒が終わったAさんに「ここ雑巾がけやって!」

Bさんに「雑巾洗いの応援に行って!」……

分担を固定しません。

状況に応じて班長が次々に指示を出して、臨機応変に対応できるようにします。

助け合う関係が密になるように思います。

目的は、きれいにすること!

掃除をやる目的はきれいにすることです。

汚れている所があれば、「ここ、もう一回拭いて!」などと指示します。

汚れがひどい時には2度拭きすることもあります。

ある時、廊下側と等側の壁沿いに雑巾で拭いている子が現れました。たしかに、雑巾がけの出発点と折り返し点の汚れは拭ききれません。

感動しました。

褒めたのはもちろんです。

それ以来、気がついた子がその端の部分を拭くようになりました。

大変有名な詩を紹介します。

学級通信にも毎年のように書き、朗読しました。

便所掃除           

濱口國雄

 扉をあけます

 頭のしんまでくさくなります

 まともに見ることが出来ません

 神経までしびれる悲しいよごしかたです

 澄んだ夜明けの空気もくさくします

 掃除がいっぺんにいやになります

 むかつくようなババ糞がかけてあります

 どうして落ち着いてしてくれないのでしょう

 けつの穴でも曲がっているのでしょう

 それともよっぽどあわてたのでしょう

 おこったところで美しくなりません

 美しくするのが僕らの務めです

 美しい世の中も こんな処から出発するのでしょう

 くちびるを噛みしめ 戸のさんに足をかけます

 静かに水を流します

 ババ糞に おそるおそる箒をあてます

 ボトン ボトン 便壺に落ちます

 ガス弾が 鼻の頭で破裂したほど 苦しい空気が発散します

 心臓 爪の先までくさくします

 落とすたびに糞がはね上がって弱ります

 かわいた糞はなかなかとれません

 たわしに砂をつけます

 手を突き入れて磨きます

 汚水が顔にかかります

 くちびるにもつきます

 そんな事にかまっていられません

 ゴリゴリ美しくするのが目的です

 その手でエロ文 ぬりつけた糞も落とします

 大きな性器も落とします

 朝風が壺から顔をなぜ上げます

 心も糞になれて来ます

 水を流します

 心に しみた臭みを流すほど 流します

 雑巾でふきます

 キンカクシのうらまで丁寧にふきます

 社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます

 もう一度水をかけます

 雑巾で仕上げをいたします

 クレゾール液をまきます

 白い乳液から新鮮な一瞬が流れます

 静かな うれしい気持ちですわって見ます

 朝の光が便器に反射します

 クレゾール液が  糞壺の中から七色の光で照らします

 便所を美しくする娘は

 美しい子供をうむ といった母を思い出します

 僕は男です

 美しい妻に会えるかも知れません

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