行事の実践3 合唱祭
特別な曲を選んだクラス(2)
高い峰をめざすこと、子ども達の可能性を信じることの大切さ!
「消えた八月」を歌った2年4組㊤
92年度の2年4組は、自由曲に「消えた八月」を選びました。
ヒロシマ・ナガサキの原爆を歌にしたものです。
学級通信にも記録されていませんので、どういう経過でこの曲を選んだのかわかりませんが、私が数曲の候補曲の中に入れ、子どもたちが決めたのはまちがいありません。
四部合唱のこの難しい曲を、「このクラスならできるかもしれない」と思ったのでしょう。
今も忘れないことがあります。
ある先生が、学級委員のTさんに訊きました。
「4組、自由曲は何になったの?」
Tさんは、溌剌とこたえました。
「私たち,スゴい曲を歌うんです」
「へえー、何という曲?」
「『消えた八月』という曲です」
「どんな曲なの?」
「ヒロシマ・ナガサキの原爆のことを歌った曲です」
「それはすごいね。当然、優勝をねらうんでしょ」
Tさんはきっぱりと言いました。
「賞は関係ないんです!」
賞がどうかとかを超え、この曲を歌う意味を噛みしめているようでした。
案の定、賞はいただけませんでした。
私自身、賞を取らせたいというホンネはもちろんありましたが、一方で、優勝でもして「ワー、ヤッター!キャー!」というのも、なんかふさわしくない曲だなとも思っていました。
消えた八月
作詞:栄谷温子
作曲:黒沢吉徳
熱い光の中で 僕は一枚の絵になった
熱い風の中で 君はひとつの石像になった
光りに打たれて 僕は壁にとけた
風に吹かれて 君は大地に消えた
僕の好きな八月は 蝉と向日葵の夏
君の好きな八月は 銀河の下 星祭り
しかしすべては消えた
熱い風と毒された空気の中で
血の一滴すら流すことなく
僕は影になった 君は物になった
故郷に 黒い雨が降る
熱い光の中で 僕は一枚の絵になった
熱い風の中で 君はひとつの石像になった
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