実践

自治をめざすクラスづくり(80) いじめ問題⑨

いじめ問題にどう取り組むか(9)

Yさんへのいじめについて、放課後全員で話し合う (Ⅲ)

ここで、私が発言しました。

思っていることを言ってくれて…、これが大切ですね。こういう発言がありましたね。
Yさんにもわるいところがあるのだからと、だからなおしてほしいと。
でもこれは、先生は、ちがうと思う。
Yさんはまったくわるくない。
Yさんもわるいというのは、まちがっていると思います。
不潔感を感じますか。
それは、Yさんの欠点なのかもしれませんね。
きっと欠点なのでしょう。
でも、欠点はだれにでもあるんじゃないですか。
先生は視力がわるい、それは先生の欠点です。
それでバカにしますか。
手が不自由とか、耳がわるいとか、英語が苦手とか…。
それでバカにしますか。
こんな人がいます。
生まれつき脳に大きな障害があって、その人は目も見えないし、耳も聞こえないし、話すこともできないし、歩くこともできないし、なにか考えることもできない。
食べるのだって、お母さんからのどに入れてもらわないといけない。
そして、自分でかろうじてごっくんと飲み込む。
寝たきりで、そんな毎日を過ごしている。
欠点だらけのような人です。
この人をバカにできますか。
この人は、お母さんに入れてもらった食べ物を飲み込むこと、そこでいっしょうけんめい生きているんです。

それで十分値打ちがある。
それで十分すばらしいんです。
生きているだけで十分に値打ちがある。
いろんな人がいるんです。
背が高い人もいれば低い人もいる。
太っている人もいればやせている人もいる。
頭がはげている人もいればそうでない人もいる。
髪の毛がちぢれている人もいればそうでない人もいる。
顔のかっこいい人もいればみにくい人もいる。
不潔に見える人もいれば清潔に見える人もいる。
いろいろちがう人がいるんです。
いろんな人がいるから、おもしろいんじゃないですか。
みんな同じだったら、その方が変だとは思いませんか。
なぜ不潔感がするのでひとしょうか。
Yさんはどうだか知りませんが、世の中には、お風呂に毎日入れない人もいるんです。
一週間も入れない人がいるかもしれない。
住む家がない人もいるんです。
Yさんには、1歳の弟がいます。
家に帰れば、赤ちゃんのめんどうをみてるんです。
おむつを取り替えたりしているのかもしれない。
ご飯のしたくだって手伝う。
赤ちゃんがいれば、おかあさんは大変なんです。
お弁当だって自分でつくっているのかもしれない。
いろんな人がいる。
それでいいんじゃないですか。
だから、Yさんもわるいからというのはちがうんじゃないかな。

(井出くん)先生が言ったように、人には欠点があるんだから…

(菊川さん)私も、さけたり、笑ったりしたので、注意したい。

(中野さん) 私は学校が楽しかったが、Yさんの気持ちを考えてあげられなかったのは、わるいと思います。

(稲井さん) 一人ひとり考えをもっていると思うので、ひと言でいいから自分の気持ちを言ってほしい。

(北野さん) みんなに言ってもらいたい。

(黒川さん) ホンネを言っておこう。言えばスキッとするし…。自分が後悔するよ。 今言ってください。

(佐藤くん) 何のために話し合っているのか、考えてください。

(内村くん) ぼくも、小学校の時からいじめてました。今考えると、なさけない。Yさんが来たらあやまりたい。

(藤野さん) 先生に言われて、なんで、私に関係ないのにって思っていました。今すぐあやまりたい。

(安田くん) ぼくも、みんなといっしょにからかったりしていました。やめたい。

(秋山さん) 先生に言われて、親に言われて、私は、そんなにひどくないんじゃない?って思ってて、でも、言おう言おうと思っていたけど、そうすると、はずされちゃうという恐怖感があって、言えなかった。よくなかったと思っている。

(井出くん) 本人は、男子にいじめられていると言ってるんだから、男子には全員言ってもらった方がいいと思います。

(秋山さん) 男子だけという問題ではない。女子にも責任があるんです。

ここで丸谷先生が発言。

私の中学時代のことです。
清潔感がなく、みんなにいじめられていた子がいました。
私は話し相手になろうとしました。
調理実習のとき、いっしょの班で、その子はすごく上手に手際よくやるんです。
こういういいところがあるんだなってわかったんです。
人を見た目で判断してはいけないと思います。
長所も見なくちゃ。
でもその時私は、いい子ぶってって思われて、何も言えなかった。
こういう話し合いがあれば…。
Yさんが話し合うきっかけを与えてくれたと思います。

                       (「2年7組学級通信№158 1996.2.9」より)

                                      (つづく)

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