経験談

学校をどう変えるか(25)【いまこそ学校に希望を242】

学校をどう変えるか(25)

学校の言葉⑥

「子どもを中心に!」「子どもを主人公に!」(1)

再びこのことを述べなければなりません。

「子どもを主人公に!」「子どもを中心に!」これに反対する人はいないでしょう。

学校の主人公は子どもだ! 当たり前じゃないか!

ところが、本当に子どもが主人公になっているのだろうか? 点検する必要があるのではないか、と私は思います。
私が、K県での30数年間は、子どもを真に学校の主人公にするためのたたかいだったと言ってもよいでしょう。
「子どもを主人公に!」には賛成しても、実施段階になると、意外にも抵抗勢力があるものなのです。
30数年間で、子どもを主人公にできたこともありましたが、到頭できなかったこともありました。
体育祭、合唱祭、遠足、キャンプ、修学旅行などの行事は、かなりの部分、子どもを主人公にできたのではないかと思います。

「子どもを主人公にする」ということは、子どもたちが決めて、実行するということです。

どんな体育祭にするか、どんな合唱祭にするか、子どもたちが決める、ということが極めて重要です。
「ことしはこんな体育祭にしたい!」「こんな合唱祭にしたい!」という夢を語り合い、決めることが最もワクワクすることだからです。

教師集団はまず、原案(実施要項案)をつくります。
それを、生徒会の議決機関である学級委員会(中央委員会)に下ろし、それぞれの学級討議に付します。
原案は、最初は教師がつくりますが、原案づくりも生徒会本部+体育委員会や合唱委員会に移譲していきます)

学級討議で各学級は、原案に対する質問や意見(修正案)を出し、原案に対する賛否を決めます。

各学級の質問・意見を持ち寄り、学級委員会(中央委員会)を開き、原案にたいする質疑討論を行い、議決します。
子どもたちが決めた実施要項にしたがって、実行していきます、実行段階に入って出てくる問題に対処するため、体育委員会や合唱委員会が頻繁に行われます。
学級内では、練習を自主的に進めるために、指導部という組織をつくります。

遠足やキャンプ・修学旅行は、学年行事なので、学年の学級委員会+班長会(「合同班長会」「拡大班長会」という名称にしました)を討議機関とし、ここに教師原案を下ろし、各学級討議に付し、質問・意見(修正案)を募ります。
再び、「合同班長会」(「拡大班長会」)を行い、質疑・討論、修正案にたいする議決を行い、原案にたいする議決を行います。

こうして、子どもたちが決め、決めたことにもとづいて子どもたちが実行に移していきます。

ある年、キャンプの原案に、「持ち物」として教師集団は敢えて「お菓子」を入れませんでした。
案の定、あるクラスが「持ってきてもよいもの」として「お菓子」を追加する修正案を出しました。
原案提出の教師集団としては、この修正案を受け入れる腹積もりでいたのですが、別のクラスから「お菓子は必要ない」と反対意見が出ました。
激論の末、この修正案は否決されました。
そんなこともありました。

子どもたちが、討論して〝決める〟というプロセス抜きに、「子どもが主人公」は成り立ちません。

この肝心なことが抜けていないでしょうか?                  

「子どもが中心」「子どもが主人公」と言いながら、その実体が伴っていないことが多い気がしてなりません。

厳しい言い方をすれば、「きみたちが主役だ」と言いながら、そのための手立てを指導していなければ、教師が子どもたちに「口だけ」ということになります。

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