平和への誓い

憲法記念日にあたって㊤【今こそ学校に希望を190】

日本国憲法施行から78年

侵略戦争の反省からうまれた憲法      

今年は、日本国憲法が公布されて79年、施行されて78年になります。

日本は、旧憲法=大日本帝国憲法の下で、絶対主義的天皇制を築き、軍国主義化を進め、侵略戦争をくりかえし、国民の自由と権利を抑圧する国になってしまいました。
とくに1931年からの15年戦争では、2000万人を超える人々の命を奪いおよそ310万の国民が犠牲となりました。

ほとんどの学校では、天皇のため国のために命を投げ出すことを強いる教育勅語のもとで軍国主義教育が進められ、10代の子どもたちも戦争に駆り出されました。

その深い反省の上に、定められたのが日本国憲法です。

日本国憲法・前文は、次の一文で始まっています。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、……政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

多くの子どもたちを戦場に送ってしまったことは、痛恨の極みです。
ですから、〝教え子を再び戦場に送らない!〟が、戦後民主教育のスローガンとなりました。

憲法は国民による国家への命令書

教職員を含め公務員は辞令を交付された時、日本国憲法を固く守ることを宣誓して、初任の職場に赴きます。
公務員になるということは、国会権力の一端を担い、国民の幸福のために奉仕する仕事に従事するということです。

憲法とは、国民の権利保障とそれを実現するための政治のシステムを定めたもので、国民が国家にたいして発する命令書です。

憲法は、国の最高法規であり(日本国憲法(以下「憲法」)98条)、「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務」を負っているのです(憲法99条)。
国民に保障されたすべての基本的人権の土台となる人権は、個人の尊重(憲法13条)と法の下の平等(憲法14条)です。
ですから、国民は「全体の奉仕者であって、一部の奉仕者でない」のです。(憲法15条)

歴史が民主政治へ発展していく時に、重要な規範の転換がありました。
人の支配から法の支配へ変わったということです。
人の支配では、人々の幸福を何よりも考える優れた為政者が現れないかぎり、よい政治は望めません。
そういう為政者が現れたことも稀にはありましたが、為政者が自分の私利私欲・野望のために権力をふるったのが、ほとんどでした。
民主主義には、法の支配が欠かせないのです。

いま日本の状況は

我が国は今年、敗戦から80年を迎えます。
戦争放棄を定めた憲法のおかげで、80年間誰一人戦争の犠牲になることがありませんでした。
戦後も世界各地で戦火が絶えなかった中で、誇らしいことではないでしょうか。
また、基本的人権を具体的にきちんと定めた憲法のおかげで、人権保障の取り組み・たたかいが飛躍的に進みました。

ところが、日本の人権状況はまだまだ、進んでいるとはいえません。
選択的夫婦別姓制度も、同性婚も認められていません。
女性への差別はなかなか解消されません。
教育の無償化もまだまだ不十分です。
世界に誇れる憲法を持ちながら。
十分に生かされていません。
残念ながら、人権後進国と言わざるを得ません。

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