教育情勢

学校をどう変えるか(8)【いまこそ学校に希望を224】

学校をどう変えるか(8)

フィンランドの教育から学ぶ㊥

幼児教育

フィンランドでは、すべての就学前の子どもたちに、幼児教育と保育(ECEC)を受ける権利があります。
ECECに参加するかどうかは保護者の決定になります。

フィンランドの幼児教育・保育(ECEC)には、複数の保育士が働いている保育園と、保育士が自宅などで預かる家庭的保育の2種類があります。

「心がけているのは『子ども中心』であること」と、幼児教育および特別支援教育を担当する教師であるアンニカ・パカニネンさんは語ります。
「遊びを通じて子どもは子どもらしくいられ、教育学に基づく行き届いた環境にいることで、学ぶ喜びも同時に身につけることで、学ぶ喜びも同時に身につけることができます」

生涯学習のはじまり

子どもたちには各自、ECECプランが立案され、それぞれのニーズに合った計画的かつ目的指向の教育、指導やケアが確実に受けられるようになっています。

パカリネンさんが勤めるヴァンター市保育園の開園時間は午前6時から午後6時まで、16人の子どもたちに、ECEC教師2名、保育士2名とグループアシスタントが1名ついています。

対人スキルを学ぶ

フィンランドの保育園では、子どもたちは生きるのに不可欠な対人スキルを伸ばす方法を学びます。

自己認識、自己管理、社会的認識、対人関係のスキルと責任ある意思決定を行う能力は、「社会性と情動の学習」、つまりSEL(Social Emotional Learning)として認知されています。

SELの実践例のひとつが、自分と他人に対する共感力を学ぶことが挙げられます。

子どもたちが自分の声や意見の重要性を早い段階で学べば、社会参加への敷居も下がります。

初等・前期中等教育

ライフスキルと知識を学ぶ

フィンランドの初等教育および前期中等教育は、フィンランド社会のすべてを支える基礎です。

基礎教育は児童生徒が人道的で倫理的な責任のある社会の一員として成長するのを支援し、人生に必要な知識とスキルを提供します。

フィンランドの初等・前期中等教育とは、7歳から16歳までの子どもたちを対象とした、総合学校1年生から9年生までの9年間を指します。

教育の基盤は、平等とインクルージョンに基づいて構築されています。

フィンランドでは、社会経済的背景やその他の要因に関係なく、子どもと若者の誰もが無償で教育を受ける平等な機会が与えられるべきとされています。

教育基盤をつくる

フィンランドのすべての学校は、各教科の目標と中心的な内容が書かれた国のコアカリキュラム従っています。
教育提供者(多くはの場合が自治体)と学校は、コアカリキュラムの枠組みのなかで独自のカリキュラムを作成します。

教科は、母語(フィンランド語、スウェーデン語、サーミ語)と文学から、外国語、数学、環境学習、生物、物理、化学、保健、宗教または倫理、歴史、社会、音楽、視覚芸術、工芸、家庭科、体育までと、多岐にわたります。

児童生徒には教材と毎日の給食と、医療福祉サービスが無償で提供され、自宅から5キロ以上離れている場合には、学校までの交通費も支給されます。

すべての子どもたちが自宅に近い学校に通えることは、地域社会の共同意識の構築にも役立ちます。
いくつか条件がありますが、学区外の学校に通うことも可能です。

フィンランドには総合学校が約2000校あります。
総合学校はすべて、子どもたちのニーズに合わせて一般的な支援から学力の教化、あるいは特別な支援を提供しています。

フィンランドに移住してきた子どもや若者には、フィンランド語やスウェーデン語の準備教育などさまざまなサポートが用意されています。

目標は、すべての子どもたちに生涯学習に結び付く喜びを喚起し、総合的な教育の可能性を保護することです。                            

(つづく)

                 (フィンランド大使館発行『フィンランドの教育』より)

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。