学校をどう変えるか(27)
学校の言葉⑧
「生徒会」
中学校では、3年生が卒業まで数カ月という10~11月は、生徒会の本部役員選挙が行われ、3年生から2年生に主導権が移る時期でしょう。
私が以前勤めた学校では、生徒会長・副会長・書記・会計という本部役員選挙が行われます。
慣例上、各学級を母体として立候補者を出し(出ないクラスがあってもよい)、選挙運動が行われます。
立候補者は、「公約」を練り上げ、選挙公報に掲載されます。学級を挙げて応援態勢をつくり、ポスターをつくったり、タスキをつくったり、毎朝昇降口で呼びかけたりします。
学校全体が、本部役員選挙という雰囲気がつくられ盛り上がりを見せます。
「公約」では、授業を中心とする日常生活をどう変えるか、そのためにどんな取り組みをするか、体育祭や合唱祭、3年生を送る会などの行事をどう発展的に変えるか、立候補者を中心にクラスみんなで考えます。
私が担任したクラスでは、少ない時は1人、最大3人の立候補者を出しました。

新入生歓迎会・3年生を送る会は、完全に生徒会主催の行事なので、本部が原案をつくり、職員会議に承認を求め、学級委員会―学級の討議に付します。
体育祭・合唱祭などの行事は、学校と生徒会の共催というかたちなので、体育祭なら原案は担当職員と体育委員会がつくり、学級委員会+体育委員会―学級の討議に付されます。
合唱祭なら担当職員と合唱委員会で原案をつくり、学級委員会+合唱委員会―学級に付されます。
議決は学級1票制で、過半数の賛成で決まります。
卒業式は、卒業生の発表の部分は、生徒に任されますので、3年生の旧本部と学級委員会で原案をつくり、3年生の学級討議に付されます。
私は、生徒会本部の指導も担い、いろいろ改革したいことはあったのですが、甚だ不十分で、その点は後悔の念が強く残りました。
生徒会とは、何でしょうか。
私がかつて勤めたA中学校の、「生徒会規約」にはこう書いてあります。
「この会は、会員相互の協力によって民主的で規律正しい学校生活の向上を図るとともに、よりよい校風を築くため、自発的、自主的に改善と向上に努める活動を目的とします。(第2条 目的)
生徒会とは、民主主義の原則を大事にして、自発的・自主的に改善・向上するように活動する組織だということでしょう。
端的にいうと、生徒たちによる自治活動を発展させていく組織だということでしょう。

そのためには、学校を変えていくための、子どもたちによる活発な議論が不可欠です。
まず本部役員が、〝こんな学校にしたい〟〝ここを変えたい〟という夢を語り、日常生活と行事について、具体的にどこを変えたいか、提案できることが大事になります。
一部の高校では、生徒会で活発に議論して、生徒会が学校づくりの中心となっている学校もあるようですが、中学校ではどうでしょうか。
私はかつて、京都の公立中学校を訪問し、その学校では、校則も生徒会でつくり、行事も生徒会で取り組んでいるという話を聞き、衝撃を受けました。
新自由主義による管理統制が強まる中で、生徒会の存在意義が問われているのではないでしょうか。
子どもたちの、学級や学年・全校の活発な話し合いがないところからは、自治は生まれませんし、子どもは育ちません。
いつのまにか、職員の下請け機関となってしまい、生徒会が有名無実化していないでしょうか。

コメント