47教育基本法㊦
47教育基本法で、とくに重要なのは、次の条文です。
第1条〔教育の目的〕
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
改正前(昭和22年制定)教育基本法より
私は、教育の目的として、これ以上の文言があるのだろうかと思います。加える言葉も削ることばも全くない。珠玉の条文だと思います。
2006年改定教育基本法では、第2条で新たに「教育の目標」を設け20もの徳目が列挙されました。そのなかで「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する…態度を養うこと」が挿入され、「目標の達成」が義務づけられました。
第10条〔教育行政〕
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。
改正前(昭和22年制定)教育基本法より
「不当な支配」とは国家権力のことです。国家権力に支配され子どもたちを戦場に追いやった、戦前の軍国主義教育への反省がここにあります。
国家権力による不当な支配を排除するために、教員は、「全体の奉仕者」(6条)であり、
子ども・父母・国民に「直接に責任を負って」いると明記されているのです。
ですから行政は、教育内容には立ち入らず、専ら教育条件整備に努めなければならないとしたのです。
改定教育基本法では、「国民全体に対し直接責任を負って」が削除され、教育は「法律の定めにより行われるべきもの」と変わりました。国家権力が法律によって、教育内容に直接介入できるようにしたということです。「教員は、全体の奉仕者」であるという文言(6条)
も削除されました。「条件整備」も消えました。「不当な支配」の文言は残りましたが、法律によって国がやろうとしていることに対する「不当な支配」と解されることになります。
私が自分の規範としたのは47教育基本法です。しかし、法律としての効力はなくなりました。一日も早く現行教育基本法(2006年)を改正しなければならないと考えています。
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