教育思想

自治をめざすクラスづくり(89)きみにとって学校とは⑥

きみにとって学校とは(6)

ひとり歩きということ ㊤

                 ~吉野源三郎「八つの小さな話」より~

 

「君は中学生だ。もう小学生ではないんだよ。だから、このくらいのことがわからなくては……」と、おとうさんたちはよくいいます。
おかあさんたちも「あなたは中学生ですよ。それなのに、そんなわけのわからないことをいって……」などと、よくこぼします。
私も中学生だったころ、そんなこごとをくったことがあります。
みなさんはどうですか。

中学生はたしかに小学生とはちがいます。
小学生では持てない重い物を、中学生なら楽に持てることがあります。
小学生にはむずかしい算数や理科の問題が中学生にはやさしすぎるということもあります。
年が上だということは、それだけ、みなさんのほうが小学生より生長しているということであって、体力や知力でも、小学生よりまさっているのは。あたりまえのことです。
そして、その生長の度合いを見て、中学一年生なら背の高さは平均どのくらい、学力はどのくらい、という標準がきまっています。
そこで、その標準を目やすにして、おとうさんやおかあさん、そのほか先生なども、みなさんに向かって、このくらいのことはできるだろうとか、このくらいはわかるはずだとか、「中学生のくせに……」とか、「もう小学生ではないんだよ」とかいう、苦情やおこごとがでるのです。

だが、いわれるほうにしてみると、このおこごとは、あまり愉快なものではありません。
わたしも中学生のころこんなことをいわれると、何か人なみになれとお尻をたたかれているような気がして、ほんとうにいやでした。
しかし、「君はもう中学生なんだよ」という言葉は、ただ「仲間におくれないようになれ。標準以下ではだめだぞ。」という注文だけでない意味があるということ

—-もう少しほかの意味があるということを、私はあとになって   知りました。
それは、どういうことでしょうか。

                         (つづく)

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。